鈴木涼美『ギフテッド』を読んだ。
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※電子
この作品は第167回芥川賞候補作ですね。
調べたら2022年6月の文學界に掲載されたらしい。
へー……。文學界なんだ……。
あらすじをamazonから引用~。
第167回芥川賞候補作にして、『「AV女優」の社会学』『身体を売ったらサヨウナラ』などで知られる鈴木涼美の、衝撃的なデビュー中編。歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの「私」は、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出すが、成功を収めることはなかった。濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った女友達のことだった――「夜の街」の住人たちの圧倒的なリアリティ。そして限りなく端正な文章。新世代の日本文学が誕生した。
ギフテッドといってもジーニアス系のあれではないです。
以下、ネタバレ&かなりネガティブな評価を書いています。
単にこの作品の内容に対しての評価ではなく、
芥川賞、ひいては日本文学に対する危機感を書いているので
「いつもの憩がいい……!」という方はここで!
読んでくれてありがとう!またね!
読むぞーって方は以下へどうぞ、お願いしますー。
まず……これ、文學界に掲載されたんだね。
読みながら「なんの雑誌に載ったでしょう」クイズを脳内で実施し、読み終わるまで???で、
えーまじでわからん、文藝かな? って思ったんですが、
文學界なんだ。(なぜ文藝かと思ったら比較的門戸の広い印象があるから)
文學界って『アキちゃん』とか受賞してましたけど、
内容はともかく、結構固めの文体の小説が載る印象がありました。
まぁ、まずわたしはこの作品の良さみがなにひとつわからなくて、
芥川賞候補作を読むときって
「文体や内容の斬新さかな」とか「重厚感かな」とかそういうのを感じながら読むのですけど、
マジで何がよかったのかほんとうにわからなかった。
だって、
内容も何ひとつ新しくない、すぐに思い出せないけどどっかで擦りまくったような内容のつぎはぎだし、
文体も「ふつうの文体」。下手じゃないんですよ。マジで「ふつうの文体」。
「夜の街」を描いた過激さもないし、それに伴う熱っぽさもない。
……え? 「夜の街」を書いているのに過激さがなくて熱っぽくない文体だったから逆によかった?
各文学賞の新人賞のほうがよっぽど挑戦的な文体で、意味不明なこと(※褒めことば)書いてるんじゃないですかね。
この際作者の方のことはいいですよ。
この作品に「衝撃的なデビュー作」って書いちゃう編集だったり、
この作品を芥川賞候補にした大人に激しい憤り……はなくて、
もはや絶望というか、危機感というか、
いや、そんな”熱っぽさ”ももはやなくて
もうひたすら「えー……」っていう感じ。
でも、芥川賞ってたまに「めちゃくちゃ凄い!」っていうのあるけど、
基本的に「?」っていうのが多い。
これはわたしの所感ですがね。
芥川賞候補に異業種枠みたいなのたまにありますが、
又吉さん(いやここに羅列するのが申し訳ないくらい)とか
古市さんとか。(テレビでの毒舌とは裏腹に意外と可愛い文章書くよね)
又吉さんはともかくとして、もうそういうのやめない?!?!って思う。
文学賞の新人賞に関してはちょっともうわからんから言及しないけど、
少なくとも第167回の対象となった半期でこの作品より候補になるものはあったんじゃないかな。
(一旦又吉さんの話になりますが、又吉さんは読書量が半端ないし、文章も恐ろしく上手。だから又吉さんは受賞して然るべきだと思います。いまでは新人賞の審査員もやられているし)
そういう自信のある作家は怒っていないのか、
はたまたほんとうにいないのか。最近は全文芸誌をチェックしているわけじゃないのでわたしも「あっちのほうがよかった!」と言えなくて恐縮。
まぁ、芥川賞に関わるひとがここまで熱意を持っているのかわからないけどさ。
とはいえ、わたしも「いい作品」を探す指標として芥川賞を参考にしてるからなぁ。
しょっちゅう「これでいいの?」って疑問を抱いているが、
こういう感情も、(元気なときは)いいなぁ、やめらんないな、たまんねぇなと思ってしまう。
ただ、「芥川候補作だから」「芥川受賞作だから」って手に取ったひとが
「なんか小説ってよくわかんないな」って思うのが嫌だなって思うんですよね。
久しぶりに読んだ小説だったので長文になりました。
ここまで読んでくれた方ほんとうにありがとう!またね。
おわり