瀬尾まいこ『夜明けのすべて』を読んだ
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瀬尾さんといえば『そして、バトンが渡された』でおなじみだが、
原作未読、映画も未視聴。(映画はいずれ観ると思う)
あらすじ(amazonから引用します)
職場の人たちの理解に助けられながらも、月に一度のPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられない美紗は、やる気がないように見える、転職してきたばかりの山添君に当たってしまう。
山添君は、パニック障害になり、生きがいも気力も失っていた。
互いに友情も恋も感じてないけれど、おせっかい者同士の二人は、自分の病気は治せなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる――。人生は思っていたより厳しいけれど、救いだってそこら中にある。
暗闇に光が差し込む、温かな物語。
激しすぎるPMSを持った女性×パニック障害を持った男子のこころの交流系の話です。
瀬尾さんってたしかご自身もパニック障害を患われていたと何かのインタビューで読みました。(調べた。たぶんこの記事)
そのこともあり、パニック障害の大変さはめちゃくちゃ伝わってくる。
そういう面では読んでよかったと思う。(どんな病気でもそうだが、ひとによって個人差が違うのでこの本に書いてあることが全部ではないことはわかりつつも……)
いつか記事にも書きますが、わたしは双極性障害Ⅱ型で通院しています。
それと、生理不順で投薬していたこともあるので、
このふたりの悩みというのはまったくわからないでもない。
パニック障害ってよくわからないけど知りたい! っていう方は読んでみてください。
この本を読んでよかった点はそこです。
ほんとうにそれはよかった。
以下、ネタバレ有の感想。
かなり厳しいことを書いているのでこの作品が好きな方は注意してください……。
amazonの高評価に驚いちゃったよ。ごめんね。
えっと……
まず、コンビニのもの食べるのやめな?
わたしもコンビニやファミレスで食べたもののレビューこれからたくさん書くつもりですし、否定はしないけど
正直言って自炊に勝るものなしと思う。
低脂質高たんぱくなものを食べろ。生の野菜を食え。
米を炊け、魚を焼け、それを海苔で包め。
そんなに悪いんだったら食生活見直しなよ……ってシンプルに思った。
人間は食べるものでできてる。
PMS女とパニック障害男を繋ぐキーアイテムとしてコンビニのものが出てくることに対する拒否反応が出てきた。
(かといって親しくもないひとに手作り弁当とかつくられてきたらそれも気持ち悪くて無理なんですけど)
まず、美紗。
ハーブティーとかヨガとかまで行ったなら断食もチャレンジすべき。
断食をチャレンジして、腸内環境整えて、身体のデトックスをしよう。
ハーブティーとか生ぬるいこと言ってんな、断食しろ、断食道場行け。(※わたしは三日間断食して生理不順が治ったため)(※個人の感想です)
あとシンプルに男の子に「そろそろ生理来るだろうな~」って思われるのがキモ過ぎて無理だった。ごめんね山添。元陽キャなのに。
男性に生理のつらさをわかってもらおう! みたいなのはめっちゃわかるけど
なんかこれに関しては、コレジャナイ感はすごくありました。
あと結構、美紗のキャラブレ?キャラ設定が気になった。
自分だけコンビニ行ってほかのひとに悪いと思ってシュークリーム買って帰るシーンが冒頭にあるんですが、
わりと年寄りの多い職場でシュークリームを買って帰ることが気遣いと言えるのか。
ものを買って渡すことがかえって他人に気を遣わせることと思えないのか? と思っちゃったよね。
(山添の家に押しかけて勝手に髪切るサイコパス感も兼ね備えてるし)
山添は年上の女性に対することば遣いが悪いし、もともとのアクティブな性格がパニック障害ですべてダメになった! みたいな悲観的な感じなんですけど、
病気とか抜きにお前もともと性格悪かっただろって思っちゃう感じ。
この美紗と山添の「周りのひとたちがめちゃくちゃいい話」なんですよ。
美紗と山添の新卒時代の上司、神すぎ。わたしの上司になってくださいよ。
内容について言及してしまったが、最後に文体について……。
あまりに読みやすすぎて心配になるレベルですが、読みやすいです。
文章はヘタじゃないと思う。
でも、描写が全然なくて、シンプルな地の文と会話で構成されている。
小説を読む喜びみたいなのがあんまりなくて、
かなり話題になっていたから『そしてバトンが~』も気になってるけど、
これ読んだらちょっと読むのこわいな~と思ってしまった。
瀬尾さん、坊っちゃん文学賞の出で、純文学系統じゃないからそんなに文体について言うのは野暮か。
文章は読みやすくていいですが、この作品の主役ふたりの質はかなり悪い。
おわり